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POST:井坪 寿晴 2021.06.18
モノから教えられるコト
皆さんこんにちは、社長の井坪です。
東京・八王子で発生したアパート階段崩落死亡事故の施工会社が倒産したという話を聞きました。
この倒産で建築物の責任の所在はどこにいくのか?逃げられないオーナー様の事を思うと心中穏やかではありません。
施工不良による死亡事故の原因は『コストダウンの為に必要不可欠な工事をしなかった』とか…。
施工責任にはほど遠い、なんでもありのインチキ商法には声も出ませんが、こういった事が命に関わる建築という分野で起こってしまった事を本当に残念に思います。
建築屋にとっての大・小は関係なく建築は生業ですが、そこに伴う責任も含めて生業にしないと駄目だということ…。
ただつくればいい、売ればいいでは絶対に駄目であるということ。
説明も含めて、未来を見据えてしっかりと責任が持てるものをつくっているか?
いつでもこの問いかけを無くさないことを心に誓いました。
さて皆様はいかがお過ごしでしょうか。
今週は本宅(会長宅)の取材があり、写真撮影やインタビューに応えました。
築30年以上が経過した和風建築ということで、クローズアップされた本宅。
今回の取材のおかげで私自身も本当に久しぶりに、じっくりとお座敷や縁側に足を踏み入れ先人たちの残した建築を肌で感じました。
飴色に焼けたヒノキの面皮柱、接合箇所のわからないヒバの長押、隙間の無い建具の建て付けに、柱から生えているかのような内法…『やっぱイイな〜』と思わず口に出てしまうほどの見事な仕事と本物の素材感!
引退、他界された先人たちが『これが職人の仕事よ!』と語りかけてきているようです。
そう感じられたのも、若い頃にはわからなかった家の“味”みたいなモノを、深みを、私も歳を重ねて少しはわかる様になったからなのかも知れません。
建築も『モノよりコト』と言われて久しいですが、『モノから教えられるコトもある』とオヤジのつくった和の空間が伝えてくれているようでした。感謝!