待てなかった人 - 井坪工務店|長野県飯田市の工務店

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井坪 寿晴
代表ブログ
POST:井坪 寿晴 2026.06.26

待てなかった人

皆さんこんにちは、社長の井坪です。

来週から、毎年恒例の社員個人面談が始まります。

この時期が来ると、いつも思い出すことがあります。

数年前、ある社員が深く悩んだ末に「辞めたい」と口にしたことがありました。

私は、相手の考えを尊重したつもりでした。
引き止めませんでした。
本人が決めたことだから、と。

——でも、あれは本当に「尊重」だったのだろうか。

今も、分かりません。

もしあの時、もう少し待っていたら。
もう少し聞いていたら。
違う言葉が出てきたかもしれない。

それは、ずっと残っている後悔です。

別の面談では、緊張して言葉が出てこない社員がいました。

緊張を和らげよう。

そう思って、私の方が一方的に話し始めてしまいました。

しばらくして、彼の口が少し動いた瞬間がありました。

何か言おうとしていた。

でも、私は話し続けていた。

あの時、私は黙るべきだった。

待てなかったんです。

二つの失敗を経て、少しだけ学んだことがあります。

ある時、産休中の社員さんと面談する機会がありました。

復帰するかどうか、迷っている様子でした。

以前の私なら、すぐに条件の話をしたかもしれません。
働き方の選択肢を並べて、
「どうする?」と聞いたかもしれません。

でも、あの時は少しだけ待てました。

条件の前に、こちらの気持ちを伝えました。

「我が社には、あなたの力が必要です」

そして、こう付け加えました。

「答えは今でなくていい。

じっくりご家族と話し合って、

最後に出てきた自分の気持ちを聞かせてください」

数日後。

その方から連絡がありました。

「この仕事、続けたいです」

——自分の言葉で、そう言ってくれました。

あの時、すぐに答えを求めていたら、この言葉は出てこなかったと思います。

人には、
言葉になるまでの時間があります。

頭では分かっていても、
まだ口にできないことがある。
気持ちはあるのに、
整理がつかないことがある。

そこを急がせると、
本当の言葉は出てこなくなる。

待つというのは、
何もしないことではありません。

自分の考えや思いは、きちんと伝える。
相手の言葉や思いも、きちんと受け止める。

そのうえで、
相手が自分の言葉で答えを出す時間を尊重する。

それが、私の目指したい面談です。

来週から始まる面談。

今年は、少しでも
待てる自分でいたいと思います。

社員の言葉を急がせず、
でも、私の思いもちゃんと伝えながら。

感謝。