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POST:井坪 寿晴 2026.06.12
聞こえていたのに
皆さんこんにちは、社長の井坪です。
少し前、母親から聞かれました。
「アップルウォッチが欲しいんだけど、どうやって買えばいいの?」
「いくらくらいするの?」
母はiPhoneを使っていません。
アップルウォッチは、iPhoneがないと使いにくい。
だから私は、こう答えました。
「時計だけじゃ意味ないかもしれないよ。
俺が使ってるGarminなら、ツノダでも買えるよ」
母は、
「ありがとう、じゃあ行ってみる」
と言って、それで話は終わりました。
——終わった、と思っていました。
翌週の月曜日。
食卓で、妻が母と話をしていました。
福岡や長崎の話。
どうやら火曜日から日曜日まで、母の兄弟たちで旅行に行くらしい。
知らなかった。
いや、たぶん聞いていたんだと思います。
聞いていたのに、気に留めていなかった。
その夜。
妻と二人になって、こんな話を聞きました。
「お母さん、私や子供たちがしているアップルウォッチがかっこよくて、自分も欲しかったみたいよ」
——そうだったのか。

私は、母の言葉を「機能」の話として受け取っていました。
iPhoneがないなら意味がない。
Garminの方が合理的だ。
ツノダで買えるよ。
正しいことを言ったつもりでした。
でも、母が本当に言いたかったのは、たぶんそういうことじゃなかった。
旅行に、少しかっこいい時計をして行きたかった。
もしかしたら、息子に一緒に選んでほしかったのかもしれない。
あるいは、買ってきてほしかったのかもしれない。
言葉の奥にあった気持ちに、私はまったく気づいていませんでした。
妻にそのことを話すと、
妻は少しだけ笑って、こちらを見ました。
言葉にはしませんでしたが、
その表情が、
「気が付かんかったの?」
と言っているようでした。
——返す言葉が、ありませんでした。
人は、全部を言葉にはしません。
状況や仕草、声のトーンや、聞き方の中に、本当の気持ちが隠れている。
それは、家族でも、お客様でも、仕事の仲間でも、同じだと思います。
聞こえていたのに、聞けていなかった。
正しいことを答えるより、相手の気持ちを感じ取ること。
便利な答えを返すより、「どうして欲しいのかな」と少し立ち止まること。
まだまだだな、と思いました。
今度は、母の言葉の奥にあったものを、
ちゃんと受け取りに行こうと思います。
感謝。